公共劇場の中にある演劇学校
演劇に携わる者にとって必要な力、劇場にかかわるあらゆることを、
プロの存在を実感しつつ総合的に学ぶ、あしたのための演劇学校。

2020年度劇場創造アカデミー舞台芸術公開講座「パフォーマンスの未来-2020からの思考-」


劇場創造アカデミーは2020年度スペシャル企画としてアカデミー講師陣による舞台芸術公開講座を開催しました。
「パフォーマンスの未来-2020からの思考-」というタイトルのもと、 鴻英良、内野儀、佐々木敦、高橋宏幸の4人がそれぞれ3日間にわたる連続講義を行いました。アカデミー修了生の渋革まろん(4期生)が講義記録を作成しました。
※記録の無断転載禁止

 
 

第1回 鴻英良「‘波動’を通して演劇を考える」 
➤2020年11月25日、12月2日、12月9日
私はこれまで演劇の本質はThinking with Joy だと主張してきた。しかし、ここには重大な言葉が欠けていた。Togetherである。Thinking with Joy, Together、これこそが演劇の本質的姿だったのだ。私の思考が他者の思考と干渉しあう。劇場には波動のように伝わる何かが生起しているからだ。そのことは演劇の起源を巡る思考、<演劇の危機とポリス的生(ビオス・ポリティコス)の危機>というテーマ系へと私を誘う。ここから<革命なき戦争の時代の演劇のヴィジョン>という今日的問題系へどのようにたどり着くか。収容所の愉楽の只中においてパフォーマンスの未来への道を探ります(鴻英良より)

 
記録はこちら:パフォーマンスの未来1_鴻英良.pdf


 
 
第2回 内野儀「演劇における「移動」を今(さら)考える」 
➤2020年12月14日、21日、2021年1月11日
演劇実践における「移動」について考えていました。あっというまに「移動制限」が来て、物理的移動がしにくくなり、ヴァーチャルな移動が推奨されています。しかし、やはり立ちどまるべきではないでしょうか。「元に戻る」のでも、「ニューノーマル」に逃走するのでもなく、「移動」を、今だからこそ/今さら考えるために。そんなことを念頭に、現代演劇の「これまで」と「これから」について、わたしがいろいろ見聞きしてきたことを中心に、3回にわたってシェアする会を開きたいと思います。(内野儀より)

 
 記録はこちら:パフォーマンスの未来2_内野儀.pdf


 
 
第3回 佐々木敦「小説を通して演劇を考える」
 ➤2021年1月20日、2月3日、2月10日
劇作家、演劇作家で、戯曲とは別に「小説」を発表している人は意外と沢山居ます。演劇と小説は、どこが似ていて、どこが似ていないのか、相互が影響を与え合うことによって、いかなる成果が生まれてきたのか?
過去から現在まで、具体的な作品や試みを幅広く挙げながら、演劇と小説とのかかわりについて考えます。 (佐々木敦より)

 
記録はこちら:パフォーマンスの未来3_佐々木敦.pdf


 
 
第4回 高橋宏幸「空間/身体/時間を通して演劇を考える。」
➤2021年2月8日、2月15日、3月1日
空間があり、身体が配置されて、そしてそこに戯曲が描く物語という時間が流れる。あまりに、当たりまえと言えば当たりまえですが、演劇がもつ構造がある。たとえそれが、単層的な時間の流れを描く物語でなくとも、空間が前提とされていなくとも、身体がVRであれプロジェクション・マッピングであれ、リテラルに提示されていなくとも、そこに身体性があること。さまざまなバリエーションがあれど、それらは演劇を作る構造といっていい。その当たり前の凡庸な視点から、もう一度、日本の近代や現代の演劇の歴史や作品を考えてみたい。(高橋宏幸より)

 
記録はこちら:パフォーマンスの未来4_高橋宏幸.pdf 


 
 
◇記録者プロフィール
渋革まろん(しぶかわ・まろん)
批評家。「チェルフィッチュ(ズ)の系譜学――新しい〈群れ〉について」(『ゲンロン9201810月号)でゲンロン佐々木敦批評再生塾第三期最優秀賞を受賞。最近の論考に「どうでもいいって?そりゃけっこうですね!――Aokid/『どうぶつえん』から『どうでもいいもの』の歓待と遊びと〈群れ〉について考える」(『Search&Destroy7号』、2021年)等。

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